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御挨拶とCleio Asterisk. 告知


 2019年も暮れる。今年もたくさんの方々の御尽力を頂き、朗読劇の三部作も完結した。ついてはここに、感謝とご挨拶を。本年に続き来年もよろしくお願い申し上げる。

 今年の‐Cleio‐としての公演は結果的には一本のみになった。しかし物語を紡ぐことを怠っているわけではない。メンバーの提案によって新しい企画が、近い内に始まる。御存知の通り我々のテーマとストーリーは単一のものだが、その表現の仕方において新しい手法が採られることになった。それはネットを通じての「語り」である。

 もともとわたしが演劇を始めたのは自分の描く物語に形を与えるためである。ならば必ずしも舞台に頼らずともよいわけで、音響とウェブを担当する山本がわたしの硬くなった頭をほぐしてくれた。人間がいつのまにか本来の目的を忘れ、ただ手段にのみ固執するようになる好例かもしれない。ただ、長年馴染んだ舞台という表現手法にも愛着が無いわけではない。来年には本公演、朗読劇ではない純粋なストレートプレイを再開する予定である。観客の皆様にはまた劇場に足を運んで頂ければ誠に幸いである。

 新しい企画は「アスタリスク」と名付けた。星印の意である。数学や天文学、プログラミングなどで使われる記号だが、比較言語学では「史料での実証が為されていない論理的再構形を示す」ものであるらしい。そうした意味であるならば、わたしが書く物語との相性は悪くない気がしている。加えてこの記号は人類最古の文字であるメソポタミアの楔型文字、そのひとつによく似ている。その文字が示すのはやはり「星」である。ならばこの名をもって、「星明りのもとで刻まれた定かならぬ物語」の題名とさせてもらおうと思う。

 語られるのは、遥かな古代に遠くメソポタミアの地から極東の島国へ渡来したひとびとの物語である。苦難の旅路を辿る彷徨う民とその若長、そして彼らを導いた大いなる者という幻想はもうずっと以前からわたしの物語の端々に組み込まれていたのだが、この企画はそれを直に主題としている。

 配信予定などは追って。劇場公演と違うのは担当によれば「いつでもどこでも視聴できること」だそうだ。

 ‐Cleio‐のライフワークである叙事詩大系、その根幹を成す古代伝承を共有して頂ければ無上の幸いである。

2019年12月29日 ‐Cleio‐主宰 佐々木 総


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