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行方(+Asterisk第4話 用語並びに付記)

前作の第三話から半年を経て、この度第四話を更新することができました。

今回語りをやらせていただきました、高橋です。皆様いかがお過ごしでしょうか。

昨年の今頃は今後世界がどうなるのか全く分からない状況でしたが、ワクチンも普及し始め、ようやく少し明るい光が見えてきたような気がします。しかしまだまだ完全に出口に立ったとは言えません。

このコロナ渦で今まで当たり前だった生活が崩れ指針が定まらない中、誰もが手探りで考え、何が正しいのか常に議論がなされていると思います。

今までは見えづらかったコトやヒトの一面みたいなものが、ハッキリと形を成し現れてきたように私は感じました。今まで気づかなかった、または見ようとしてこなかっただけかもしれませんが…

厳しい状況に置かれたとき、ヒトはどうなってしまうのか。どう在れるのか。

私たちもいまだにハッキリと今後の予定が立たぬまま、リモートで話し合いや稽古を重ね、とにかく今出来る最大限のことをやろうとAsteriskや今後のための下積みなどに取り組んで参りました。

どうしていくべきか正解というものは分かりませんが、伝えたい物語があること、そのためにどう創り表現していくかは何一つ今までと変わりはないと強く気持ちを持ちつつ、

早く皆様といっしょにまた舞台にて「Age of Flame」の世界を体感できる日を楽しみに、これからも邁進していきます。

-Cleio- 髙橋 佑貴子





<第四話 用語ならびに付記>

■橇

「橇」としたが、劇中でナダヌが形容に迷っているようにその形はいわく言い難いものである。古代においては中近東一帯に自生していたレバノン杉の巨木、その丸太を割ったものを(人間の眼には)乱雑に束ねて作られている。全長は18キュビトを越え、重量はおそらく10トン近いと思われる。

さらに付記すればレバノン杉はかつて大森林を成していたが人間の伐採が数千年も続いた結果、ほとんどが消失し、現在野生のものは保護区にごく僅かが存在するのみである。レバノン杉の例にとどまらず、かつての中近東はシリア、アフガニスタンに至るまで自然の恵み豊かな四季のある国々であった。アフリカ北岸も同様で、現在の過乾燥とその進行は人間の大規模伐採がもたらしたものと言ってよい。メソポタミアとエジプトに勃興した二大文明、その人口増大と消費活動がその端緒となった。

■王の血、巫女の血

古代においてこのふたつはしばしば同じものである。そして古代では(特に一神教が発達する以前は)神とは太陽、大気、海、大地などを象徴する自然神(人格化され、人間が自分たちの物差しで定義する以前の神々)たちが主であり、かれらと対話し、人間との間を仲介する者こそが聖巫であり、巫女であった。それは現在とは異なる次元での実際的な道理であり、「現実(すなわちあるがままのこの世界)から目をそらさぬ勇気を持つ者」そしてその行為の結果として「未来を予測し得る者」としての尊崇を受けた。ナダヌの葛藤はここに由来している。

■ヨヴィ族

物語世界において神聖都市ウルクで使役されていた奴隷種族。リリトはこれに属している。支配種族であったシュメール人とは肌、髪、眼の色合いが異なっており、人類という生物がすでにこの時代から人種差別という病に冒されていたことを示している。にもかかわらずリリトが武装しているのは彼らヨヴィ族がいわゆる「戦奴」であるからで、戦争が行われるときは最前線あるいは殿軍に立たされ、シュメール人の人的損害を最小限とするべく「肉の盾」とされた。



作・演出  佐々木 総

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